「また会おう…」2(終話)





〝近くで見ても美しいペイントとユーモラスな曲線〟
 広尾
何だろう…2017年12月7日 
                                X100F FUJIFILM





訃報を聞いてからしばらくの間、彼女が元気だった何十年も前のことを思い出していた。

セローというオフロードバイクに乗り、ショップ主催のオフロードレースに出るような男勝りの一面があったかと思うと、夜中に『クッキー焼いた』とわざわざ届けてくれたりした。

缶コーヒー片手に恋愛相談にのったのは夕暮れの玉堤通りの土手だった。

『行かない?』と誘われたて、真夜中に向かったのは深夜営業している環八沿いのモーターサイクル専門書店でだった。

楽しかったことばかり思い出した。



しばらくして…確か今年も年賀状が来ていたことを思い出し、ファイルを引っぱりだした。


あった。

改めて見ると、25年前とほとんど変わらない筆跡でそこにはこう書いてあった。

「一昨年は少し病気をしましたが、今はもう大丈夫です。元気になりました。今年はみんなで会いたいです。」


それはとても切なかった。



年に一度の…慣例としての年賀状。
「元気ですか?」
「今年こそ会いましょう」
「お互いカラダには気を付けよう」
そこに書かれた言葉は特に珍しいこともなくて…ありふれた一文に過ぎなくて、埋もれて、見過ごしてしまった。
彼女の声をピックアップできなかったことが悔やまれてならない。

いつも元気な彼女が『少し病気をして…』と書いているのになぜ見落としたのか?…と
年賀状をフォルダから取り出して触れると、あの屈託ない笑顔と、乗っていたバイクが思い出されて、その映像がグルグルと頭を回った。


当時は特別じゃなかった時間。
ありふれたなんでもない時間が…長い年月を経ることで、かけがえのない美しい時間だったのだ…と気付く事がある。


我が家に集まってきた仲間達は、紆余曲折さまざまなドラマを経て、社会人になり、海外に嫁いだ人もいるし、IT企業の社長になった人もいる。
在京のテレビ局のディレクターになった人も、世界で活躍するカメラマンになった人もいる。
さまざまな場所でさまざまな生業で生活する大人になっているけど、辿るとあの時間に行きつく…そんな気持ちになった。


繰り返しになるが、あの宝石のような美しい時間を過ごした仲間が、50歳の声を聞くと同時にこの世を去ってしまったことが残念でならない。


心から冥福を祈りたい。


 

Comment

☆kirageegeさんへ
あああそれは壮絶なというか…印象深い光景ですね。

身近いなところで男性(だけ)が亡くなっていくって
(実数としてはともかくそういう印象を持った)と感じたのは。

心になにかトラウマみたいなものを残す可能性さえありますよね。


随分とお若いときに大きな病気をなさったのですね。

そうなると、冒頭のコメントとの兼ね合いで…人生観も影響を受けたことは
想像に難しくありません。

私の場合はどうなのだろうか?と考えたときに…身近な人の死という意味では
兄の死(交通事故死)があります。


ですが、如何せんまだ1才だったために記憶があるはずも無く影響はほとんどありません。

やはりなんと言っても両親が3ヶ月違いで亡くなったことでしょうか。
何しろ高校時代の同級生同士、同い年の二人が一気にバタバタと亡くなったので、
その後人生設計を考える段になると二人が亡くなった『76才』がひとつの基準に
なっていたりします。


50歳…年下の友人が亡くなるというのは辛いものです。

コメント有り難うございました。

  • 2017/12/12 13:10
  • ☆kirageegeさんへ:ナチョパパ
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☆kazahanaさんへ:
言われてみたら確かに…このリベットは特徴的で可愛い感じがします。
そしてこのヘッドライト周りのプラスチックも…ある意味チープだけど
レトロな感じが強くなって…実に上手いマテリアルの使い分けです。
  • 2017/12/12 13:08
  • ☆kazahanaさんへ:ナチョパパ
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Re: 悲しいけど…
鍵コメTさん…有り難うございます。

お名前を拝見すると、このボクら地元の仲間の一人と同じお名前なんですが…
もしかしたらあの旧姓H.Tさんでしょうか? 
もしそうであれば…改めてご無沙汰しております。
※違っていてもコメント心より感謝申し上げます。

今回のこと(会わなかったこと、連絡しなかったこと)は痛恨の極みです。

そういう意味では、確かに遅かれ早かれいずれ向こうにへ行くので、
その日までは色々なエピソードを用意しておかなきゃって思います。

50歳というのは早すぎですが、それでもこれからこの様なことが
やはり何度か繰り返されると思うと、心がキュッと音を立てるような感覚になります。

会えるときにちゃんと会っておこうと思うのでした。


  • 2017/12/12 13:07
  • ☆女性の鍵コメTさんへ:ナチョパパ
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幼少の頃、女に生まれればよかったと思った時期がありました。
田舎の小さな部落で亡くなるのは、決まって男だったから。
なんと短絡的な考えだったんだろうと今では思うんですが。

中高生のときに5年もの大病を患った時、自分はなくなれ!と思った時もありました。
そんな自分が、今、中高生ならぬ中高年どころか老齢に達している。
人生とはまことにわからないものです、と本当に思っています。

僕も、友達を若くして亡くしたり、従兄を自殺で亡くしたり
かなり辛い思いをしてきました。これからもきっと同じようなことが
今まで以上にふりかかってくるんだろうなと思います。
いや、もしかしたら、自分自身が、とも。。。

いつ頃読んだものか忘れてしまいましたが、人はその生を受けた時から
死が始まっている、という文言をみた時相当のショックを受けた
という記憶が、この文章を読んでよみがえりました。

若くして亡くなった方の無念はきっとあるのでしょうが、それを
今生きている僕たちはどういかすのか、生きるのかが問われているように思います。

何とコメントすればよいか迷っていましたが、時間に追われ
こんな陳腐なことを書いてしまいました m(_ _)m
  • 2017/12/09 00:27
  • キラジージ
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お写真の車
リベットがレトロで素敵です
  • 2017/12/08 20:47
  • かざはな
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  • 2017/12/08 00:54
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