「春の嵐が全てを洗い流してしまう前に…」




               更に奥へ 平成26年3月30日(日)
           @Mont Saint Michel 「ちょっと怖いくらい複雑な建造物」






晴れ、雨、風、雷、曇天、そして地震…今日の東京は目まぐるしく変わる空模様で気象条件の授業を受けているようでした。あなたの住む町はどうでしたか?

程度にもよるけど、雷も地震も大風も…大きな被害が出ないのなら嫌いではない。3.11以前であればむしろ少しのワクワク感があってアドレナリンが出るような感覚があった。もちろん今は地震の後ろ側に”恐怖”があるけど。


春の嵐に吹かれながら街を歩くのは悪くない。薄ら暖かい風を受けながらタクシーを待っていた。待つ間まじまじと渋谷駅前を見渡した。辺りは相変わらず工事中で完成にはほど遠いけど、新しいビルや店が並んでいる。でも目を瞑るとそこに既になくなってしまった風景があって、その中にもう何十年も会っていない人や既にいなくなってしまった人との思い出も沢山ある。


変わりゆく景色の中でまた新しい記憶が作られて…やがて今の景色を”記憶”として継承されていく。春の嵐の中、疲れた頭でそんな事を考えていた。新しく変わっていく渋谷の街を見ていたら、記憶の中の光景が消えてしまいそうな気になる。春の嵐が街の埃やちりを洗い流してしまうように、新しい景色が古い僕の記憶を洗い流してしまわないように。

バームクーヘンが有名な喫茶店も、薄暗い映画館の入口も、小さなキオスクのような店も、学参の多かった書店も、美しい天体ショーを見せてくれたアナログのプラネタリュウムも。そして記憶の中の笑顔のあの人も、もう一度深く記憶の中に刻み込んでおこうと思ったのでした。