シティノイズ シティサウンド 1/3



           マチナカキリン
                     @日本橋 「マチナカキリン」







が明け切っていない青い闇の中、唸るような車のエンジン音に交じってシャカシャカと何かが擦れる音がする。
水分を含んだような少し重い音で、窓下に段々と近づいてきて音のピークと共に段々と通り過ぎていく。
 窓を開けひんやりとしたまだ夜気の残る通りを見下ろすと、車道と歩道を分ける縁石を境に散水されて色の変わった石畳が黒く絨毯のように遠く大通りまでつながっている。

パリの朝の始まる儀式の話だ。


 自動化された大型の散水ブラシ清掃車が、人々の活動が始まる前に街中を磨き上げているのだ。殆ど毎日同じ時間に、同じように現れて、同じように去っていく。記憶が曖昧なのは雨の日はそれが無かったように思うのだけど定かではない。


 窓から聞こえてくる音に耳を澄ます。その時聞こえてきた音を「ノイズ」と感じるのか、「サウンド」と思えるのかは分からないけど、時を経るとノイズだったものがサウンドになる事もある。朝の冷やりとした空気の中で窓の外から聞えるあの音を懐かしく聞きたい…と思う事が時々あるのだ。

<<<続く>>>