街角で… 1

                      お知らせ
                          @都内某所  店内某所…





"かどぱん" は正式は「角パン」と書く。
もちろん本当の屋号はは“角パン”でもないのだろうけど、近所の人は誰もが「角パン」と呼んでいた。


 小さな交差点にある小さな古いパン屋で、腰の曲がったお婆さんが一人で切り盛りしている。どのくらいお婆さんかと言うと、今年72才になる商店街の会長が小学校に上がる前におぶって貰ったことがあると言い「その時にはもうお婆さんだった」と言っているのだ。まあ会長は大風呂敷を広げる事で有名でもあるのだけど。


 十数年前にこの町に地下鉄が開通した。夏祭りがテレビや雑誌で特集されるようになると、一気に「お洒落な街」として脚光を浴びるようになり、「町」から「街」になった。

 時を同じくして古い商店が欠けるように姿を消して、どこの街にもあるチェーン店のコーヒーショップやドラッグストアが出来始めた。
 商店街の中心に突然出来た創作和菓子の店が「この街名物」とマスコミで取り上げられると…驚くような集客があった。そして「町の歴史」と題された古い写真集に写っている老舗の和菓子屋が、ある日コインパーキングに変わってしまった。
 驚くことに「この街名物」と言われた新しい創作和菓子を食べたことのある「この街の住民」は、知る限り一人もいなかった。



 評判のイタリアンやフレンチがオープンすると、それに呼応するように、世界的なパン職人の名前を付けたブランジュリーが何軒も出来た。この狭いエリアに…正に乱立するように。

 しかし”かどぱん”はそんこととは全く関係なく、いつも朝の7時になると開いて夜に8時には閉店した。
 去年までは年末年始、そして日曜祝日以外は一日も休む事はなかった。唯一の例外は昭和天皇が崩御なさったその日、1日だけ休業したのだった。


 近くに沢山のコンビニがあり、中には買収劇で二度も看板が掛け替えられた店があった…コンビニと言えども変わっていく中で、やはり”かどぱん”だけは変わらずに小さな交差点の角に在り続けた。
 この10年で、通りに面した小さな昔からの商店は無くなり、跡地にはマンションが出来た。”かどぱん”の両隣でさえ今は更地になりコインパーキングが設置されている。交差点の対岸からその光景を見ると…長崎の出島のようにポッカリ飛び出しているように見えたのだ。


 今年の春先だった。いつもなら開いているはずの“かどぱん”のシャッターが開かなかった。そしてそれが数日続いた。三日も続くと周りの人がざわざわとした。


そう…まさか…と、”かどぱん”のお婆さんを案じたのだ。




続く



Comment

★raouさんへ:
有り難うございます。なんだか「raouさん」って書くと新鮮な気がします。

さてキムラヤって全国展開なんですね。ボクの住んでいた町にもあって、
家族で利用していました。
もちろん読んで字の通り…「パンのキムラヤ」なんですが、簡単な文房具
「人生で初めてシャープペンシル」を買ったのもキムラヤでした。
1本500円でぺんてるのものだった記憶があります。ボディの上半分がアルミ製でシルバー、
下半分が黒のプラスティック。ペン先がまたアルミ…みたいな。
それまでずっと鉛筆だったので…随分と大人になった気がしたのを覚えています
小学3年生の時だったかと…。

関西も一緒だったのですね…油引きされた木製の床。焦げ茶色の電車。
ボクは残念ながら焦げ茶色の車両というものを見たことがありません。
「がらくたスケッチ」でお馴染みのnaokoさんは、山手線がこげ茶色の車体だった事を
知っているようです。

ボクが知っている、もう現役には無い車両は東京メトロの「丸ノ内線」という
路線の車両です。参考写真のURLを貼っておきますね。因みに赤い方が旧式で、
新型がアルミの方です。
http://www.tokyometro.jp/news/2010/2010-01.html

旧型はブラジル政府に買い上げられて、今でも現役でブラジルを走っています。
いかに当時の日本製が丈夫だったか?って事ですよね。


さて…raouさんも是非、昔懐かしい町を訪れてみたらいかがでしょうか? 
直ぐに写真の話になってしまいますが(苦笑)…raouさんなら良い写真が一杯撮れる
と思います。ボクはそれを楽しみにしています。

コメント有り難うございました。
  • 2012/07/05 20:25
  • ★raouさんへ:ナチョパパ
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かどぱん いい名前ですね~
私の幼い頃の記憶には、天六のキムラヤパンがあります。
店のイメージしか記憶にないのですがのっぽのキリンの絵が描かれていたことだけが記憶になります
そしてその記憶と一緒にあるのが、トロリーバスと市電。
バスは油引きされた床だったような記憶が・・・そして、阪和線ではやはり焦げ茶色の電車が走っていて床は木製だった。
天王寺和歌山間に新快速電車が走ったときとっても鮮やかなブルーに驚いたものです

角パンのおばあさんほどではないけど、小学生の時住んでいた小さな団地の近所に小さな商店街があって揚げたてのコロッケが美味しかったことを思い出しました。今はどうなったんだろうなぁ

続きが楽しみです~
★naokoさんへ:
こんにちわnaokoさん

はい。本当にそうです。“かどぱん”のお婆さんはある意味
街のみんなのお婆さんって事になりますから…そこは元気でいて欲しいのですぅ。

実はこの写真を撮ってから、今日のこの話を書こうと思いました。
新橋のとある有名な(マニアの間ではですが)洋食店の入口あった貼り紙ですが…
単なるメモなのに、何度も使い回しているような(苦笑)感じですよね。
究極のエコって気もしますが、飲食店としては…あまりにも(^o^)アハハ


アーnaokoさんもご存じなんですね。木製の床。
そうそうメンテナンスが終わったばかりや、新車の時はまるで濡れているような
質感を持ちました。

実際の雨の日も強くって…滑ったりしませんでしたよね。今考えるともしかしたら
かなりエコな床かも知れません(^_-)ウン
山手線もこげ茶の色合いだったことがあるのですね? ボクの記憶の中の
山手線はもう既に緑でした。全体が緑で…今のようにステンレスでラインが一本
なんてお洒落なものではなかったですぅ。

コメント有り難うございました。

  • 2012/07/05 06:35
  • ★naokoさんへ:ナチョパパ
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Re: つづくのですね・・・
引き続きノコメント有り難うございます。

はい。まだ続きます…次回で終わりなんですが(^_^;)汗
そうそう、そう言う意味では仰るように定点観測状態です。
でも…正確には観測しているのでは無く、どうしても生活圏の中にあるので
前を通らざるを得ないので…結果として「観測」しているような状態に
なってしまっているのかと…(^o^)アハハ 

イカンイカンここで種明かしになってしまって、続きが面白くありませんね。


今日(07/05)も蒸し暑い東京ですが、kazahanaさんがお住まいの地域は
いかがでしょうか? ご無理なさいませんように…。
今日も一日、平和でありますように…。



  • 2012/07/05 06:01
  • ★kazahanaさんへ:ナチョパパ
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そこだけぽっかり残っているかどぱんの、おばあさん
お元気だといいけど…
はい、つづくですね。

お写真、面白いですね(#^.^#)
で、今日は やるの??やらないの?
カレーがないことはわかりました…
まさかカレー屋さんじゃないだろうし^^; ん~ナゾだらけ(笑)
こちらも気になります…

そうそう↓私が初めて乗った頃の山手線の床も木でした
ちょっと油の匂いがする車内、
濡れていると思うほどの床の時や車両もあったような…
車体は焦げ茶のような、でしたね~
と、記憶を辿ってみました(^_^;)
つづくのですね・・・
昔 木村伊兵衛氏が行なった定点撮影を思い出しました
全く同じ場所にカメラをセットして撮影を続けるというものだったと思います

おばあさんが心配になってきました 
つづくのですね・・・



  • 2012/07/04 21:55
  • 風花
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